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所得格差や貧困は歯に現れる!

日本は国民皆保険があるので意識することが少ないですが、世界的には所得格差や貧困は露骨歯に現れるといわれています。

特にこの傾向は皆保険制度が無い欧米ではより顕著で、初対面の相手はまず最初に歯を見て、その人の家庭環境や教養を図るというのが当たり前になっているほど。

ここではそんな所得格差、貧困と歯の関係と、欧米に対して歯への意識が遅れている日本の現状についてまとめました。

歯の格差が寿命を左右する

いま、世界的に大きな課題となっているのが格差問題です。1%の富裕層が世界の富の半分を所有するといわれており、先進国と途上国といった国家間の格差だけではなく、同じ国内でも、富めるものとそうでないものとの格差が拡大しています。

この格差は健康格差にダイレクトに反映し、歯の格差にもつながっています。それを如実に表す数字があります。

アメリカスの調査によると、アメリカでは上位1%の富裕層の平均寿命が、下位1%の貧困層より10年以上長いという結果が出ています。富裕層の男性は87・3歳まで生きられるが、貧困層の男性の平均寿命は短い地域では74・2歳という結果です。

女性でみると、トップの富裕層は89歳と日本人よりも長生きです。それに対して貧困層最下位では80歳と、9歳もの開きがありました。日本のような国民皆保険制度の導入がなかなか進まないアメリカでは、健康格差も大きいといえます。

貧困や所得格差は歯に現れる

所得の高い人やセレブ層は歯の健康度が高く、「歯がいい人ほど長生きで健康」で「歯に健康投資することが、健康長寿につながる」というのはアメリカなどの調査からも裏づけられています。

では日本ではどうでしょうか。日本でも、所得が高い人ほど歯がいいとわかる調査があります。

厚生労働省の「国民健康・栄養調査報告」(平成26年)によると、所得が高い人ほど残っている歯も多いことがはっきりとわかります。

所得が年200万円未満の男性では、33.9%の人が歯の本数が20本未満です。それに対して600万円以上の男性では20.3%。

女性ではそれぞれ32.2%、25.8%です。所得と歯の本数の関係は男性のほうがはっきりと表れています。男性では、200万円未満と600万円以上では、13%以上もの開きがあるのです。

歯の格差は家庭の貧困率と繋がっている

もうひとつ、衝撃的な調査があります。虫歯が多く、歯がぼろぼろの「口腔崩壊」している小学生の背景には、貧困や生活習慣、ネグレクト(育児放棄)などがあるという調査です。

2016年6月に大阪府歯科保険医協会が明らかにした歯科検診の実態調査によれば、大阪府内の公立小学校の児童約2万4900人が、歯科検診で「受診が必要」となったにもかかわらず、その半数以上約1万2600人が再受診していなかったということです。

児童の中には、6年生で永久歯が12本虫歯という子どももおり、再受診できない理由には「生活が苦しい」「治療費を何とかしてほしい」という声があったそうです。

さらに、これが中学生になると再受診していない生徒は約7割、高校生では8割を超えたといいます。

子どもの虫歯は家庭の経済状態を反映し、さらに家庭のデンタルIQや健康知識を反映しているのです。格差が比較的小さく、皆保険制度で平等な医療が受けられるにもかかわらず、日本の子どもたちの回の中には、大きな格差が存在しているのです。

所得格差は歯だけでなく肥満にも表れる!

さらに面白いことに、歯の本数だけではなく、肥満にもリンクしていました。男性の場合、所得200万円未満では肥満者の割合が38.8%、600万円以上の人は25.6%です。

つまり、所得の高い人ほど歯の本数が多く、肥満が少ないということです。肥満は生活習慣病をはじめ多くの病気に悪影響を与えますから、肥満の人ほど健康度が低いともいえます。

アメリカでは低所得者は肥満が多いといわれてきましたが、日本でも同じ現象が起きているということです。

日本でも求められる予防歯科

歯の格差、健康格差、所得格差、この3つの格差が、日本でも目に見える形で進行しています。

先進国日本で「12歳で永久歯12本が虫歯」の子どもがいるという現実は、なんとしても改善する必要があります。こういった「口腔崩壊」の子どもたちの口の健康を取り戻すことが、健康格差を解消する近道だと思います。

そのために、母親や父親、家族全員の日の健康が大切なのです。具体的には「妊娠時から虫歯予防」が必要ということを、妊婦さんになってからでなく義務教育から学べるようにするなど、虫歯菌を子どもに伝えない予防歯科の知識を普及させることがもっとも効率的といえるでしょう。

これは歯科先進国スウェーデンやフィンランドが30年以上も前に実践し、効果をあげている方法です。日本でも北欧方式を取り入れればいいのです。成功例があるわけですから、いまある医療インフラを活用できるので、お金もかからず、社会的負担は最小限ですみます。

治療にばかり目を向けるのではなく、残っている健康な歯をどのように守っていくか? という視点です。

口の中の格差をなくすことが、日本の医療格差、つまり健康格差をなくす第一歩になると、私は確信しています。そのために必要なのが、歯科医の考え方を方向転換して、予防歯科にシフトした医療制度に変えることなのです。

世界的に広がる健康格差

健康格差という言葉は、リーマンショックによる世界的不況が始まった2008年ごろから、よく聞かれるようになりました。

2009年にはWHO(世界保健機関)が健康格差対策の推進を勧告し、日本でも厚生労働省が最初にあげたのが「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」です。

私たちが考える以上に「健康格差」は深刻で、国民がすべて平等に医療を受けられるという制度があっても、収入や地域、教育などによって、健康に格差が生まれる時代であるということです。

それは歯と口腔の健康にも格差が生まれていることを意味します。

ちなみに、そこでは栄養・食生活、身体活動・運動、体養、飲酒、喫煙および歯・口腔の健康に関する生活習慣および社会環境の改善、があげられ、生活習慣病予防や歯・口腔の健康も入っています。

欧米では歯がその人の社会的地位が判断される

傾向が強いといえます。100%とはいいませんが、常識的には歯並びがよくて、歯がきれいでないと低所得層とみなされます。

もし、白い歯の人と、欠けたり黄ばんだりしている歯の人がいたら、間違いなく白いきれいな歯の人のほうが信用されます。手入れされた美しい歯の人は知性的に見られるのです。

歯は外から見える器官なのですから、海外のエリート層は相手の歯を見て、 一瞬でその人のバックグラウンドを判断することもあるわけです。

日本人からすれば、歯で人を判断できるはずがないと思いますが、貧富の格差が大きいアメリカや階級意識が強いヨーロッパではそれが現実なのです。

とくに、アメリカの高学歴エリートや知識人の子どもは虫歯をつくりませんし、矯正を受けていますから、人前に出ても恥ずかしくない歯並びをしています。大人になってからも、政治家や財界人といったエリートたちには、かかりつけの歯科医がいて、定期的に通院し、歯のチェックやクリーニングを受けているのです。

もし、少しでも歯が欠けたり歯茎が腫れたりすれば、すぐにかかりつけ歯科医に治してもらいます。

欧米では歯が悪い=貧困層、という認識

一方、所得の低い家庭に育ち、親も自分も高等教育を受けられなかった人は、歯の治療が満足に受けられないことが多いです。ですから、歯の状態で教育水準や家庭環境も判断されてしまうのです。格差が拡大している日本でも対岸の火事ではなくなるかもしれません。

役づくりに熱心なアメリカの俳優は、役柄に合わせて歯並びや色を変えることがあります。

エリートや上流階級の人の役を演じるときには、真っ自で歯並びのよい歯にし、学歴のない人や貧困層の役柄のときには、汚れた歯や乱代歯にしたり。するとそれだけで、役づくりのベースができてしまうというほどです。

たとえば、『パイレーツ。オブ・カリビアン』といった海賊映画を見れば、その違いが一目瞭然です。身分が高い軍人と社会のアウトローである海賊の、歯並びや色を大きく変えているのです。

これほど歯に対する意識が日本人とは違うのです。海外でトップセールスをする場合には、歯を治してからでないと、対等な交渉相手とみられず、信用もされません。

欧米のリーダーは歯が綺麗

日本は先進国の中でも、健康や医療のインフラがとても進んでいます。世界一の長寿国でもあり、医療先進国の中では医療費が少ない割には、寿命が長いなど、誇れる点はたくさんあります。

しかし、歯に対する健康意識やかける医療費、歯科医療の質は、けっして進んでいるとはいえません。先進国といっても国によって違いがあり一概にはいえませんが、少なくとも歯科先進国とされるアメリカや北欧諸国に比べ、見劣りしています。

その差は、国のトップリーダーたちの口元にも表れています。

アメリカの大統領や高官はテレビで見ても、歯並びがそろった美しい歯をしていることがわかります。オバマ前大統領の歯並びは完璧といっていいでしょう。トランプ大統領もけっして見劣りしません。イギリスのロイヤルファミリー、たとえば、キャサリン妃もきれいな歯をしています。

ヨーロッパはアメリカほど白い歯にはこだわりませんが、ロイヤルファミリーの歯は自くきれいです。

ドイツのメルケル首相は旧東ドイツ出身だったことも影響しているのか、あまりいいとはいえませんが、それでも海外のトップリーダーやエリートは総じてきれいな歯をしています。歯がきれいだと、顔や表情も明るく清潔に見えるのです。

歯が綺麗でない日本の政治家

それに対して、日本の政治家の歯はあまりいいとはいえません。

サミットや国際会議で先進国の首脳が並んでいると、スーツや髪形は負けていませんが、やはり、日本の政治家の歯は見劣りしてしまいます。

政治家は多忙でなかなか歯科医院に行く暇がないのかもしれませんが、国民の代表として人前に出る立場です。先進国の代表的立場のリーダーたちが、乱代歯や汚れた歯でも平気でいる光景は、歯科医としては残念でなりません。

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