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食事をよく噛んで食べる子は運動も勉強もできる

子どもの頃、親から「もっとよく噛んで食べなさい」と注意されたことが無い人は少ないでしょう。

なんでそんなに噛まなければならないのか? それは昔は現代よりも食べ物が硬かったからしっかり噛まなければ食べられなかったというのもありますが、実は咀嚼をしっかりすることは健康にも深くかかわっているからです。

昔の人は知識としては咀嚼の重要性は知らずとも、体感的にその重要性を認識していたからこそ、子どもに「よく噛んで食べなさい」と言っていたのではないでしょうか?

ここではそんな噛むことの重要性について説明します。

子どもの咀嚼と能力差の関係

WHOや厚労省でも深刻な問題として取りあげているのが子どもの健康格差です。平成26年度「3歳児歯科健康診査実施状況」でも、3歳児の乳歯の虫歯は地域差が明確に存在することがわかります。

たとえば、虫歯がない3歳児の割合がもっとも高い県は88.89%なのに、もっとも低い県は68.85%です。同じ健康保険制度であっても、地域により20%以上の格差があるのです。

よく噛んで食べる子は勉強もできる

子どもの歯や日の状態は人格形成や知能・運動能力とも密接に関係していることが、さまざまな研究から明らかにされています。

古くは1950年代に行われた研究もあり、昔から子どもの虫歯と能力との関係は、臨床的によく知られていました。虫歯がなく健康な歯でよく噛んで食べている子どもは、学習能力も高くなる傾向にあるのです。

幼稚園児を対象とした比較研究では、よく噛む食事をしている子どもは、そうでない子どもよりも計算能力が高いという結果が出ています。

ポジトロンCT(PET)という脳の血流を測定する検査があります。それによると、咀疇することで脳血流量が大きく増加することが確認されています。血流が多くなると脳は活性化します。それが学習効果を上げることにもつながると思われます。

よく噛んで食べる子は運動もできる

ちなみに、運動能力と咀唱能力にも深い関係があることが判明しています。

小学生を対象に、運動能力と噛む力(咬合力)の関係を調べた研究によると、懸垂、50メートル走の成績がよい子どもは、噛む力も強いという相関関係があります。

運動能力が高い子どもは、噛む力も大きい、つまりしっかり噛める筋肉と強い歯をもっているということなのです。

海外や日本のお金持ちが我が子の歯に投資を惜しまないのは、見栄え云々ではなく歯への投資は学業・スポーツにおいて非常に重要な意味合いを持つことを知っているからなんですね。

親の言う「よく噛んで食べなさい」は正しかった

今ではお受験も盛んになっています。そのために夜遅くまで勉強させることも大切なのは分かりますが、まずは全ての土台となる歯に関心をもち、これを健康に保つ意識を持つことの方が実は大切なのかもしれませんね。

咀嚼量の学習・運動能力への影響は、高齢者よりも若い人のほうが顕著という研究もあります。虫歯があったり噛み合わせが正しくないと、しっかり噛めませんからね。

子ども時代に、歯や口を健康に保つことが、将来の学力や仕事にも影響する可能性もあります。子どもの噛み合わせを正しくするのも親と歯科医の責任ですね。

子や孫にも及ぶ歯の格差

所得の高い人ほどデンタルケアの意識も高いという傾向は実は日本でも確認されています。

例えば高度経済成長とともに成長した会社の例。働きづめに働いた初代、それを継いだ2代日、3代目でいえば、初代のころは、日本はまだ先進国とは言い難く、日本人の回腔内も後進国並みに悪かった時代です。

銀歯が入っている人も多く、歯の欠損をそのままにしている人も多かったのです。終戦直後は砂糖摂取が少なかったので、虫歯も多くはありませんでした。

ところが60年代から70年代は食事が軟らかくなり、甘いものが増えたことで、子どもの虫歯も増えていきました。

厚労省などの資料では、日本人は1970年代には12歳の90%以上が虫歯をもっており、1980年代前後からようやく減少に転じているのがわかります。

歯科後進国だった時代には、いわゆるセレブといわれている人たちの口の中もいい状態ではなかったようです。

しかし、初代(多くは創業者ですが)、そのつぎの世代(2代目の時代)となってくると、歯科疾患は急激に少なくなり、3代目の孫世代になると、虫歯はほとんどゼロになったそうです。

オーラルケアの意識は子どもや孫に受け継がれる

ひとつの例として某美容関係メーカーの一族があげられます。創業者である会長、息子の社長、その子どもたちと世代が下るにしたがいデンタルIQが上がり、歯の状態もよくなっていったそうです。

3代目の孫世代は、虫歯なしです。そして、それぞれの家族、親族へとよい歯の波及効果でファミリー全体の歯の健康度が高くなっていったのです。

40歳以上の日本人の8割が歯周病に罹患している統計がありますが、高所得者の一族は虫歯はほとんどありませんし、歯周病もまれです。

70年代に、歯に対する意識を高めた初代の教育が、子どもや孫の代になり、実を結んだ、というわけですね。

2代日、3代目は虫歯、歯周病を防ぐ予防歯科治療で歯の健康を維持しています。両親の口の中がきれいなこと、そして子ども時代から定期的に通院し、虫歯にしない教育や生活指導、歯のチェックを行い、年代に応じて必要な治療や処置を行います。

痛くなったら歯科医に行き、痛みが治まったら行かなくなるというのではありません。定期的な歯の健診とクリーニングが中心となる通院です。それを行うことで、子ども時代から虫歯ゼロ、歯周病知らずの家系、ファミリーができあがるのです。

虫歯は治療ではなく予防で対処する

口の中を見れば、その人の家庭環境から老後まで見えてくるそうです。虫歯ゼロの子どもと虫歯だらけの子どもを比較した場合、両親の健康知識が推測できるのです。

虫歯そのものは遺伝ではありません。虫歯になりやすい体質は遺伝しますが、虫歯は親から子へと感染する感染症なのです。親がたくさん虫歯をもっていれば、何もしないままだと子どもも虫歯になります。虫歯をつくる細菌、ミュータンス菌は代々受け継がれるのです。

その連鎖を断ち切るのが、予防歯科です。最近ようやく予防歯科が注目されるようになった日本ですが、歯科先進国より30年以上遅れているといえます。

海外で活躍していた意識の高い一部の日本人たちは、30~40年前から歯の大切さに気づき、予防教育を受けてきました。その差が、子どもや孫の世代に顕著に表れたわけです。

歯と口腔内の状態のいい人と悪い人では、生涯医療費に3200万円もの差が出るということです。子どものときに教育を授け、お金をかけ、よい歯並びに矯正しておけば、病気になりにくく、医療費も少なくてすむということにもなります。

噛むことは認知症予防に効果的

歯の影響は健康面だけに留まりません。最近では、噛む機能(咀噛)と脳への影響との関係を調べる研究が盛んに行われています。

そのひとつに、脳の学習記憶に深くかかわっているアセチルコリンという情報伝達物質の研究があります。認知症との関連が深い物質としてよく知られていますので、 一度は聞いたことがあると思います。

アルツハイマー型認知症の人は、このアセチルコリンが減少しています。認知症治療薬として有名なアリセプトは、脳内のアセチルコリンを増やす作用があるとされています。

実は、アセチルコリンは咀噛により増加することがわかってきたのです。つまり、子ども時代だけでなく、成人してから、さらに高齢になってからも、咀疇機能が高い人はアセチルコリンが多いと考えられます。

記憶力や学習能力に深くかかわっているアセチルコリンを増やすためには、よく噛めることが重要です。

虫歯や歯周病でない歯で、もし欠損していたら、できるだけ元の歯に近い人工歯(インプラントや義歯など)で、よく噛み咀疇機能を高めることが、学習成績や記憶力、意欲などにもいい影響を与えます。

 

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