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よく噛んで食べるとダイエットやアンチエイジングになる

子ども時代、誰もが親や学校の先生から「よく噛んで食べなさい」と言われたことはあると思います。

咀嚼をしっかりすることは子どもの発育の面で重要ですが、大人になってもそれは変わりません。

なぜなら、よく噛んで食べることはメタボ対策やアンチエイジングに繋がるからです。

人は食べ物をよく噛むと満腹感を感じやすくなる

よく噛んで食べる男性

歯とはダイレクトに歯と骨がくっついているのではありません。全体の下半分ほどの歯根と言われる部分があって、それが歯槽骨という土台に深く埋まっています。

歯と歯槽骨の間には歯根膜という繊維状の組織があり、この歯根膜が歯と骨をしっかりつないでいます。と、同時に歯根膜は、脳に「噛みごたえ」という情報を伝える触覚センサーの役割もしているのです

「これは硬い煎餅だ」「これは柔らかい豆腐だご」などの食感がわかるのは、歯があるからです。

歯は、食べものを噛み砕いて栄養の消化吸収を助けるだけでなく、噛むことで食べ物のさまざまな物性を見分け、脳に伝えるしくみを担っているのです

歯根膜の中に張り巡らされている触覚神経の末端は歯とつながっています。いわば靭帯のようなヒモ(歯根膜線維)で、歯があごの骨に宙づりにされているのです

しっかりと神経のひもにくっついている歯は、噛む力によってヒモの部分が伸びたり縮んだりする感覚をキャッチします。

その「食物を噛んだ」という信号はまず脳の「三叉神経中脳路核」という中枢に送られます。すると、三叉神経中脳路核に隣接する「視床下部」が刺激されることになります

視床下部は、心臓を動かす、呼吸をする、体温調節をするなど人間が生きていく上で不可欠な体内の働きを一手に引き受けている「間脳」の一部分です。

興奮したリリラックスしたりといった自律神経の調節や、ホルモン分泌器官の統合的な調節、さらには「お腹が空いた」「のどが渇いた」「排泄したい」「眠りたい」などの本能、「喜び」「怒り」など情動の中枢でもあります

噛むことで視床下部は指令を出し、脳には「神経性ヒスタミン」という化学伝達物質が生成されます。

この「神経性ヒスタミン」生成が、太りすぎ防止の重要ポイントです。

神経性ヒスタミンは視床下部の内側部に送られ、それが満腹中枢を刺激すると「お腹がいっばいになった」という感覚が生まれます。噛むという刺激で分泌されるこの神経性ヒスタミンは、噛めば噛むほど大量に出てくるので、満腹中枢を早い段階から刺激します

そのため少量でも満腹を感じるようになり、食べる総量が減るのです

よく噛まないとお腹は膨れない

よく噛まないで早食いをすると、満腹中枢はなかなか作動しません

噛みごたえのないやわらかい食べ物ほどそれほど噛まなくても飲み込めますから、必然的に食べる量が増えてしまいます。

「デザートは別腹」「目が欲しがっている」などという言い方がありますが、そうしたちょこちょこつまみ続けられるような食べ物はケーキやチョコレート、ポテトチップスなど噛む力をあまり要しないものが多いですね

噛まないために満腹中枢が充分に働かず、いくらでも食べられるような気になってしまうのです。

神経性ヒスタミンはまた、視床下部の「室傍核」というニューロン(神経ネットワーク)にも働きかけ、自律神経の摂食抑制や、いらだちを抑える作用をします。

家族や気の置けない友人と会話を楽しみながら食事をともにすると、満たされた気持ちになるのは誰もが体験しているでしょう。

逆に、仕事が忙しくて掻き込むように食べたり、ひとりで黙々と食事をしたり、ストレスで手当たり次第に食べたりすると知らず知らずのうちにドカ食いしていたという経験がないでしょうか

これも、よく噛んで脳に食物の物性をちゃんと伝え、神経性ヒスタミンを生成しているかどうかと関わっているのです

噛むことが脂肪を燃えやすくする

噛むという行為は、違うルートからも満腹中枢を刺激します

肝臓や筋肉にはグリコーゲン(糖分)が一時的に蓄えられているのですが、噛むことでこの分解スイッチが入ります。

グリコーゲンはグルコース(血糖)という形に分解されて血液中に放出され、血糖値を上昇させます。血糖値が上がったという信号が満腹中枢に届けば「もう満腹」というサインが出て、それが食べ過ぎのストッパーになります。

噛むこと自体がダイレクトに脂肪を分解するわけではないのですが、噛むことは間接的に体脂肪を、特に内臓脂肪を消費させるといえます

噛むとグリコーゲンの分解が始まると述べましたが、それは活動のためのエネルギー作りのためです

糖質の次には、肝臓や脂肪細胞に使い残して蓄えていた脂質(遊離脂肪酸)を使い始めます

一般的に栄養は、糖質、タンパク質、脂質に分けられ、別物のように思われていますが、それらは体の中では絶えず代謝経路を通ってお互い変化しているだけ。

つまり何を食べても活動エネルギーとして使い切れなかった分は、体内に脂肪として蓄積されてしまいます

噛むことで満腹中枢が刺激されれば、食事量が減ります。すると活動エネルギーの不足を体脂肪から補おうとし、体脂肪の分解が進みます。

実は内臓脂肪は皮下脂肪に比べて溜まりやすいけれど放出しやすいという特徴があります。

つまり、よく噛むことによって内臓脂肪が減りやすくなります。噛む動作がメタボ予防にとても効果的だとおわかりでしょうか

よく噛むほうが体が温まる

加えて、噛むことは食事による「体熱産生反応」を高めます。

これは、食後、身体の中での熱生産が活発になり、放熱していく反応のことです。食事をしていると体が温まる感覚を覚えますね。

おもしろいことに、温かい食べ物ではなく冷たい麺類やサラダ、お弁当など冷たい(温かくない)食べ物をいただいても同じように「体が温まった」と感じるはずです。

つまりどのような食事をしても体熱産生は起きるのですが、よく噛んで食べるほうが体熱産生が高くなることがわかっています

食事による体熱産生には、①咀疇によって急上昇する第1相と、②食物が胃に到達してからゆるやかに上昇する第2相があります

海外の実験によれば、「食べ物を噛む正常な食べ方」と、「チューブで食物を胃に流し込む食べ方」では第1相に大きな差がありました。チューブを使ったほうは、満腹中枢が働くスイッチにもなる第1相でほとんど上昇しません

つまり、噛むと満腹中枢が働きやすくなり、体熱産生や消費エネルギーが高くなってスリムになっていきます

反対に、噛まないといっまでたっても満腹中枢が作動せず、体熱産生も消費エネルギーも低く、肥満傾向になります

現代のような食事のしかた、ジャンクフード化や噛まない傾向は肥満体質を生み出します。噛まないことと太りやすさの因果関係をいろいろ見てきました。

逆に言えば、メタボ回避のためには「よく噛んで食べよう」という意識が欠かせません。

噛みごたえのあるものを選んで食べることはもちろん、やわらかいものでもよく噛んで食べれば太りにくい体になっていきます。

牛乳などごくごく飲んでしまうようなものも噛みながら飲む、食事の前にキシリトールガムを噛んでおくなども、太りにくい食べ方としておすすめです

正しい噛み方でメタボ予防を

メタボの人は噛み方が上手な人は少ないことがほとんどです。

噛みぐせチエックをするのに、市販のガムを噛んでもらって口元やあごの動きを見る実験があるのですが、犬のように上の歯と下の歯をタテにカチカチと当てるだけの噛み方をしている人が多いそうです。

この噛み方は「チョッパー型」といい、垂直な力だけでものを噛んでは飲み込んでいるので、知らず知らず早食いになっています。まさにメタボ体型の人に多い噛み方です

正しい噛み方は、垂直な力と水平な力がミックスして加わる「グラインディング型」です

グラインディングの噛み方を観察すると、下あごが左右にふるえるような複雑な動きをします。これは奥歯で食べ物をすりつぶしているからです

この噛み方で食べることができる人は、すりつぶしが上手なので、食べ物を味わうことができるためしっかり噛むことで、早食い防止にもなります

グラインディングで噛める人は噛むときの左右のバランスもいいので、顔やあご周りの筋肉の発達も均等です

チョッパー型からグラインディング型へ

チョッパーで噛むクセや片側噛みのクセなどは、小さいときからの食べ方噛み方の習慣が定着してしまった結果です

乳歯であっても、噛み合わせがよいと自然にグラインディングで噛むようになりますが、噛み合わせが悪いと知らず知らずにチョッパーで噛んでいる、という場合も少なくありません

噛みぐせ矯正のためのトレーエングガムがあるのですが、まだ小学校低学年くらいなら、歯科医師の指導のもと、1日2回10分間ずつ3ヵ月ほどの練習期間を取れば、正しく噛むことができるようになります

2年ほどその噛み方を続けていると、奥歯がまっすぐ立ち上がり、歯列が広い馬蹄型になります。わざわざ矯正しなくても歯並びまですっかりきれいになってしまう場合もあるくらいです。子どもだけでなく大人も、噛み方を見直してみることで、さまざまな健康メリットがあります

厚労省や日本歯科医師会、日本学校歯科医会では「噛みんぐ30」とぃぅ運動を進めています。「噛みんぐ30」とは、ひとくちで30回以上を噛もうというキャンペーンで、右側で10回、左側で10回、両側で10回を目安に習慣づけてください、というものです。

このひとくち30回噛みを実践して健康を取り一戻し、世界的に有名になったアメリカのフレッチャーという富豪がいます。フレッチャー氏は40歳のときあらゆる生活習慣病に侵されていました

医師に頼っても一向に改善しなかった体調が、噛む健康法を取り入れて劇的に変わりました。5ヵ月で30kgの減量に成功、体力や意欲も回復し、自転車競技に出場するまでになったのです。

この噛む健康法は大学の栄養学の権威にも証明され、「フレッチャイズム」と名づけられました。30回噛みの習慣を続けると、2~3週間めから体重が減少し始めます。カロリー計算などしなくても、噛むだけでダイエットできるのです

よく噛むと脳が活性化する

すでに「よく噛むこと」が肥満予防になることをお話ししましたが、噛むことはさらに運動機能を向上させたり、記憶力を高めたり、ストレスを和らげる効果もあります

噛むと脳の前頭前野が刺激されて活性化することは、研究で証明されています。

その研究によれば、ガムを噛む前としっかり噛んだ後で体力測定をしてみると、背筋や握力などの数値、また脊髄で行われている反射運動の数値も向上することがわかっています

「歯を食いしばってがんばれ」は、理にかなった励ましなのです

噛むと脳の機能全般が活性化しますが、特に短期記憶を司る海馬にいい影響が出ます

マウスを使った噛むことの実験

マウスを使った実験で噛む行為が学習にどう影響するかを測ったことがあります

歯を少し削って噛み合わないようにしたマウスとふつうのマウスに食事をさせてみます

食後の脳の様子を見てみると、さまざまな違いが一目瞭然です

水面下に休憩台を配した小さなプールでマウスを泳がせると、ちゃんと噛めないマウスはどのあたりに休憩台があるのかを覚えることができず、何度トライしても毎回あちこちを泳ぎ回って探します

しかししっかり噛んで食事をしたマウスは、数日で休憩台の位置を覚え、プールに入るやいなや体憩台を目指して泳ぐようになりました

このときのマウスの脳を見てみると、脳全体が活性化していることがわかります。特に海馬が大きく変化していました

噛んで食べることが海馬の活動を助け、記憶力を高めることが明らかになったのです

噛むことはまた、緊張を和らげるホルモン分泌を促します。よく噛むと、ストレスを感知する役割を担っている扁桃体の神経活動が落ち着くので、キレにくくなります

よく噛む食生活が全身の健康を助けるといってもいいでしょう

噛みごたえのある食べ物はアンチエイジングに繋がる

久しぶりに知人と再会して、「この人はいつまでも若々しいな」とか「ずいぶん老けたみたいだ」などと感じた経験は誰にでもあると思います。若さを保つ秘訣はいろいろありますが、噛むことも見た目や全身のアンチエイジングに寄与します

では、噛むことはアンチエイジングとどう関わっているのでしょう?

噛むという外圧によって、歯を支える歯根膜は伸びたり縮んだりします。その刺激が歯根膜を通して歯やあごの骨にある骨芽細胞に伝わると、カルシウムやリン酸など骨の基質が増えて強くなります

噛む刺激は同時に、歯根膜の中の繊維芽細胞にも圧をかけることになります。リズムのある物理的な力が加わると細胞代謝が活性化し、コラーゲン繊維が増えます。

それは歯根膜に限らず、顔全体に波及し、肌や粘膜のコラーゲンを増やすわけです。

つまり、よく噛んでいれば肌や粘膜のコラーゲン量や、骨のカルシウム量などが増えます。また噛むと口元やあご周辺の筋肉が鍛えられます。

人は高齢になるにつれ、顔の筋肉や骨が痩せてきて日元がくばみ、しわが増えていわゆる梅干し顔になってきます。

しかし 噛んでいればこの老化を遅らせて、いつまでも若々しさを保つことができるのです。

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