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母親のミュータンス菌は赤ちゃんを虫歯にさせる

赤ちゃんの虫歯は親を経由して発生する、という考えは今でこそ常識となりつつありますが、その鍵を握るのが最近よく見かけるミュータンス菌です。

このページでは虫歯の母子感染について、その経路やメカニズムについて説明します。

4歳まで虫歯菌に感染しなければその後虫歯になりにくい

虫歯や歯周病は口内の細菌が問題ですが、これらの菌は唾液を介して感染します

もし口の中にミュータンス菌や歯周病菌がいなければ、歯磨きや食生活に気をつけることで、虫歯や歯周病が重症化する可能性が低くなります

ところが、親がそうした虫歯菌や歯周病菌を持っていると、生活の中で子どもにうつしてしまう「家族感染」のリスクは非常に高くなります

まず虫歯菌であるミュータンス菌について見て行きましょう。そもそも生まれたての赤ちゃんの口の中には、ミュータンス菌は存在しません。

しかし、口の中にミュータンス菌をたくさん持ったお母さんが、自分が噛んだものを子どもに与えたり、お母さんと子どもで同じ箸やスプーンを使って食べたり、ジュースのペットボトルなどを回し飲みすると感染してしまいます

祖父母や父親からの感染、乳幼児同士の感染もありますが、現実には、ミュータンス菌は母親から子どもへ感染する「母子伝播」の割合がとても高いのです

母から子へミュータンス菌を移さないことが大事

データでは、お母さんのミュータンス菌レベルが最も高いと、0歳でも50%くらいの割合で感染していますが、お母さんのミュータンス菌がゼロだと、子どもは1歳まで感染することは無いそうです。

ミュータンス菌の感染年齢が遅いほど、虫歯になる乳歯の本数が少ないという報告もあり、1歳で感染してしまった子は、4歳になったときの虫歯の歯面数は平均5面、感染が2歳だった場合は2・5面、3歳の場合は0.9面です

もし4歳まで感染を防げたなら、わずか0・3面ですから、ほぼ虫歯ゼロです

つまりお母さんのミュータンス菌レベルが、子どもの虫歯の本数を決めているわけです

ミュータンス菌に感染している子どもは4歳で75%に虫歯があり、感染していない子は75%に虫歯がありません。

感染している子と感染していない子では、虫歯の割合は3対1。この割合は、スウェーデンの研究と、日本で調べた結果とほぼ一致するそうです。

これらのデータからはっきりしているのは、4歳までミュータンス菌の感染を防じことができれば、それだけで子どもの虫歯を3分の1に減らせるということです

成長するにつれ感染の機会は減りますし、次に説明する理由から、成人になってからの感染リスクは低いので、 一生の歯の健康を考えればこの時期の予防が大きな意味を持ちます

つまり、子どもが4歳になるまで、特に乳歯が生えそろうまでの1歳6ヵ月から2歳7ヵ月の間にいかに感染させないかが勝負です

子どもの歯の健康は、生まれる前から決まっている

予防歯科医療の先進国フィンランドでは、お腹の中にいる胎児のときからその子の歯の健康を考えた教育が行われており、母親は妊娠がわかったら赤ちゃんの虫歯予防のためにできることをするのは常識になっています

子どもの歯の健康のためには、妊娠中に母親のミュータンス菌感染レベルを低くすることがひとつのポイントになります

妊娠中に母親がキシリトールを摂取すると、子どもはミュータンス菌に感染しにくいという研究結果もあります。

その研究では、妊娠6ヵ月から子どもが生後9ヵ月になるまでの13カ月間、母親にキシリトールガムを1日4回噛んでもらい、子どもが生後9ヵ月から24カ月になるまで、子どもの口の中のミュータンス菌量を調べました

その結果、母親がキシリトールガムを噛んだグループの子どもは、キシリトールガムを噛まなかったグループの子どもより、有意にミュータンス菌の感染率が低かったのです

この研究論文は、世界的権威のある歯科雑誌に掲載され、日本中の歯科医の耳目を集めました

これにより、キシリトールガムはミュータンス菌の母子伝播を予防(あるいは遅らせる)のに有効である ことが証明され、その研究結果が世界でも認められたのです

研究をされた仲井雪絵先生は、妊娠中から始める子どもの虫歯予防を「マイナス1歳から始めるむし歯予防」と位置づけて、さらなる研究に邁進されています

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